グループ会社の株式会社IKK(以下「IKK」)は、鉄建建設株式会社(以下「鉄建建設」)と共同で、ジオポリマーコンクリート「セメノン」の耐酸性試験(硫化水素)をはじめとする各種性能評価試験を進めています。セメノン製セグメントは、2024年10月に大阪府吹田市発注の下水道管渠整備工事において本設適用を完了しており、また、性能評価試験により従来のセメントコンクリート製セグメントを大きく上回る耐久性を確認しました。

これにより、下水道の深刻な劣化問題に対する有効なソリューションとしての可能性が示されました。

■ ジオポリマーコンクリート「セメノン」について

ジオポリマーコンクリートとは、メタカオリンやフライアッシュ等のアルカリ環境下で化学反応が進行する粉体(活性フィラー)と水ガラス等のアルカリシリカ溶液の縮重合反応により生成される固化体です。
ジオポリマーコンクリート「セメノン*1は、アルカリ活性材料(AAMs)のうち、カルシウム(Ca)成分をほとんど含まない純粋なジオポリマー*2に分類され、カルシウム(Ca)が溶解する酸劣化の環境において高い抵抗性を有しています。

 

■ 耐酸性試験(硫化水素):従来のセメントコンクリート製セグメントと比較して約17倍

本試験は、「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル」に基づき、実際のセグメント製造工程に即したφ100×200mmの試験体を硫酸水溶液に112日間浸漬し、質量変化率を確認しました。その結果、従来コンクリートの質量変化率が-42.2%であったのに対し、セメノンは-2.4%となり、約17倍の耐酸性を有していることが明らかとなりました(写真1・図1)。

写真1 耐酸性試験(硫化水素)の試験体
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写真1 耐酸性試験(硫化水素)の試験体
図1 耐酸性試験(硫化水素)
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図1 耐酸性試験(硫化水素)

■ 耐摩耗性試験:従来のセメントコンクリート製セグメントと比較して約1.2倍

本試験は、ASTM C779–05「Standard Test Method for Abrasion Resistance of Horizontal Concrete Surfaces(水平なコンクリート表面の耐摩耗試験、A法:回転円盤機)」に準拠し、経過時間60分後の摩耗深さを測定しました。その結果、セメノンは従来コンクリートと比較して約1.2倍の耐摩耗性を有していることが明らかとなりました(図2)。

図2 耐摩耗性試験
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図2 耐摩耗性試験

■ その他(実施中の性能評価試験)

(1) 劣化量測定試験

本試験は、φ100×200mmの試験体を5%の硫酸水溶液に浸漬し、一軸方向の劣化量を測定する促進試験です。劣化量は「腐食量」と「内部劣化深さ」の合計値で構成されており、今後の長期劣化予測を踏まえた防食層の設計に活用する予定です(図3)。

また、実際の下水道管施設内での暴露試験も併行して進める予定としており、セメノンの高い耐酸性が下水道劣化問題の解決に寄与すると考えています。

図3 劣化量測定試験のイメージ図
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図3 劣化量測定試験のイメージ図

(2) 長期耐久性

将来の適用拡大を見据え、各種の長期耐久性試験を進めています。

鉄建建設・建設技術総合センターでは、外径φ3,100mmのセグメントモックアップを設置し、自然環境下における長期耐久性など、実環境に近い条件での検証を実施しています(写真2)。

写真2 鉄建建設(株) 建設技術総合センター(千葉県成田市)
(手前:セメノン®製セグメント、奥:従来のセメント製セグメント)
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写真2 鉄建建設(株) 建設技術総合センター(千葉県成田市)
(手前:セメノン®製セグメント、奥:従来のセメント製セグメント)

■ 今後の適用について

セメノン製セグメントは、従来製品と同等の強度および耐荷重性能を有しており、公共下水道施設へのセグメントとしての本設導入実績もあります。また、全国展開に向けた生産・販売体制も確立しました。

IKKと鉄建建設は、CO₂排出量を大幅に削減でき、かつ高い耐酸性(硫化水素)を有するジオポリマーコンクリート「セメノン」を、耐腐食性が求められる下水道管路(シールド工法用セグメント)などの構造物への適用に向け、積極的に提案することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

*1 「セメノン」は株式会社IHIと株式会社IKK、横浜国立大学、アドバンエンジ株式会社にて開発したジオポリマーコンクリートです。

*2 土木学会コンクリート委員会「新しいアルカリ活性材料を用いた低炭素社会におけるインフラ構築に関する研究小委員会(233委員会)」の分類に準拠。